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プロローグ

旅スケッチは非日常ながら、巡り巡って私の日常に彩をもたらす

予定通りの旅では出会えない景色や時間を紡ぐスケッチ

良いことも悪いことも体験しながら描くことが私のスタイルになった

いつだって、次はどこに行こうかと想いを馳せる

 

北欧の空気感に触れてみたかった2017年

真っ先に思い浮かんだのは、洗練されたフィンランドと

小さいけれどそれぞれ独自の光彩を放つ3つの国、バルト三国

50年間ソ連からの支配から抜け出し、1991年に再び独立を果たした歴史的背景がある

過酷な時代をくぐり抜け、中世の建物を守りながら

今も発展し変化を遂げていく国を、描きとめたいと思った

 

あっという間に最後の親子旅を迎えた2018年

彼は17歳の冬、突如「西洋料理の道に行く」と告げてきた

ヨーロッパを一緒に周ってきて10年。さぞかし現地での美食が、彼の将来への道筋を作ったと?

残念ながらそれは理想論で、絵を描くことが最優先されるこの旅では、食はいつも後回し

朝あまった固いパンを昼に食べさせられる、気付いたら朝から食べてない、疲れて母は爆睡している

リュックの中に余っていたお菓子で空腹を満たす・・・本当に毎回酷い食生活をさせてしまっていた

そんな中で、各地の郷土料理を食べに地元の人が賑わう食堂やレストランに時々足を運んだ

当たり前ではない贅沢で温かい食事だったからこそ彼の舌と記憶に残るものになったのかもしれない・・・

 

海の幸から山の幸まで多種多様な料理が味わえるスロベニアから

再会の約束を果たすべく、クロアチアへ再び向かう

旅の締めくくりは歴史と文化と建築、そして彼の為に美食の旅へ!

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韓国の出版社Kyra books。初出版から1年後、2冊目のお話を頂き、1年かけ再び形にして頂きました

岡山の印刷会社・中野コロタイプさんには、再び絵のスキャンと色校正をお任せしました

今は料理の世界で頑張っている、旅の相棒だった息子

旅スケッチや画集に関わった全ての方達、そして再び韓国語にも関わらず購入して下さった皆様

この場をお借りして深く感謝申し上げると共に

ページをめくる度、ヨーロッパの小さな町を一緒に旅しているかのような気分を味わって頂けたら幸いです    

                                     

2019.12 高原泉

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